芦屋芸術|同人誌・現代詩・小説

十三日の金曜日、その思い出。

 思い出と言っても、まだ数日前の話だが、この歳になってしまうと、未来でさえ、既に思い出だった。

 やはり、この十二月十三日の金曜日、一般的に言えばとても不吉な夜ではあったけれど、四人の男、それは山村雅治、北野辰一、國分啓司、そしてこの私こと山下徹が、阪神芦屋駅前の喫茶店「西村」で落ち合った。というのも、「芦屋芸術九号」の出版記念会、忘年会、また、来年出版予定の「芦屋芸術十号」の意見交換会、この三つの会のために集まった次第だった。だが、ボクの頭には少し認知が入っているのだろう、何をおしゃべりしたか失念したままだ。

 ひとつだけ覚えていることがある。「西村」で一時間余り過ごしてから、イタリアレストラン「ジョバンニ」へこの四人で足を運び、テーブルに生ビールと赤ワインのボトルを置いているのだった。