芦屋芸術|同人誌・現代詩・小説

ポツン

 台風の影響で、夕方の五時前からどしゃぶりになり、辺りはもう薄暗くなっていた。けれど、六時過ぎになってふいに雨は止み、雲が切れ出した。その間から、月が見えた。

 今夜はきっと月の左側に木星が寄りそっているはずだ。ボクは濡れた歩道を芦屋浜へ出た。近づくにつれて、雲の切れ間は大きく開き、月と木星とさそり座の赤いアンタレスが南西の空で三角形に浮かんでいる。南に土星、頭上では夏の大三角。その少し東側に秋の四辺形。まだうっすらけむった西の空ではアークトゥルスがたったひとりポツンと光っている。