芦屋芸術|同人誌・現代詩・小説

星と海に助けられた。

 また、胸苦しくなって、わけもなくいかりがこみあげて来て、夜の八時頃、芦屋浜に出た。

 うろこ状の雲がたくさん浮いていて、余り期待はしていなかったが、それでも雲の間から、南西の空に木星、その右下にさそり座の赤いアンタレスが輝いていた。南の空には土星、そして頭上では夏の大三角が流れる雲の向こう側で見え隠れしていた。あとは、雲ばかりが動いていた。

 風が強く、半袖ではなくもう長袖のシャツが欲しいくらいだった。浜に立って星を見上げ、あるいは暗い海を見つめていると、気分が明るくなってきた。毎度のことだが、星と海に助けられて、家路についた。