芦屋芸術|同人誌・現代詩・小説

我が家からの宇宙旅行

 きょうも、夜明け前の三時半ごろに起きて、身支度を済ませ、我が家の前の道から空をあおぐ。
 東の空には、アークトゥルスとスピカとデネボラの春の大三角が光り、振り返って西の空にはシリウス・プロキオン・ベテルギウスの冬の大三角が、六甲山から西国、瀬戸内海へ向かって大きく傾いている。天は既に冬から春へひそかに芽ぐみ始めているのか。
 ボクは星を見るとき、いつも門灯を消す。しかし、街灯や門灯がずらっとならんで、星を見るには適切な場所ではない。近所の公園に出ても、住宅地よりはるかに明るい。それでも、こんなに明るい夜明け前でも、春の大三角の下、東の低い空に、キラキラした小さなヒマワリのように金星が輝いている。
 夜の照明は主に治安のためにあるのだろうが、いつか、照明がなくても安心な世界がやってくると思う。月と星星だけの原初の夜の世界。
 やはり、この辺りで星座旅行をするには、暗い芦屋浜まで出るのに限る。我が家から歩いて十分足らずである。