芦屋芸術|同人誌・現代詩・小説

知井13号

「知井」は名古きよえの個人誌である。13号は平成23年10月25日発行。執筆者は名古きよえの他、山崎佐喜治の詩「ふるさと」、神田さよの詩「時の目」、名古忠行の詩「無題」、そして<心に残る詩>として相馬大の「キリハタリ ヒョウ」、「子どもの心の中には」。つまり、詩を中心にした個人誌だといっていいと思う。

著者によれば、個人誌「知井」は故郷の地名であり、記憶から消えようとしている人と風土をすこしでも遠くへ発信したいという思いで、誌の表題にしたとある。
この誌の中の「知井の歴史」は連載11回目にあたり、起工式が昭和十年十月三日、翌十一年三月三日に棟が建ちあがった小学校の校舎の思い出が綴られている。彼女はこの起工式の年に生まれたという。次回はこの村の奨学金制度について書く予定だと付記している。

彼女の詩も併せて読んでいて、おそらく「帰郷」せんとする場所はまったく異なるのではあるが、不図こんなT.S.エリオットの言葉が浮かんできた。

我等の全探検の結末は
出発した所に到着して
初めてその所を知ることだ

印刷所 (株)北斗プリント社
発行者 名古きよえ
〒603-8042 京都市北区上賀茂狭間町17-17