芦屋芸術|同人誌・現代詩・小説

チリメンジャコ

「もう終わったのよ。しっかりして。」

そんな声がして

未明に目覚めた

ここは 肉も実もない

骨だけで構成された物体が遊ぶ宴会場

二百畳くらいの日本間で小さな舞台もついている

あやつり糸もないのに

百体くらいの物体が踊りはじめた

クツクツ 笑っていた

舞曲のクライマックス

全体がひとつに重なりあって

クルクル 回って

一個の大きな物体になって固まりだした

物体のあちらこちらで叫んでいて

大音響で騒いでいる

気持ちいい アイさ アイさ もうたまらん

ピクピク 痙攣して

巨体に無数のひびが走り

アイさ

一瞬にして砕け散った

 

大きな紙袋をひっくり返したら

チリメンジャコがあふれ出たようだった