芦屋芸術|同人誌・現代詩・小説

白昼夢

夢の中を列車が走っていた

運転手の姿が見えないので

きっと おもちゃの電車だ

そんなことを 考えながら

列車の座席に座っていた

大きな黒犬を連れた女が

通路を左から右へ歩いて

消えた 

悲鳴が聞こえた

あの女の声に違いなかった

通路を右から左へ

黒犬が走り抜けた

リードは付けたままだが

女の姿はなかった

スマホを見た ちょうど午後零時

最近 酒量が増えていた

きのうも飲み過ぎて 深夜に帰宅した

午前中 仕事はしたが

いつの間にか 背もたれクッションを枕にして

ソファーに寝転んだまま

列車の座席に座っていた