芦屋芸術|同人誌・現代詩・小説

時間への後悔

  頭が言った 侮辱するな

  足が答えた ごめんなさい

  尻が鳴った ほんとにごめん

  不満が噴き出した 脇が濡れて

  ほっぺがふくらんだ時 思わず平手打ちした

 

ちょっと待て 私はその手の指を見つめていた じっと 左手の人差指を 

一本突き立てて 指先を 見つめ そして その指が指し示している方向に 

まなざしを向けようとした

何故なら 私には既に気配がしていたのだった

胸騒ぎがしていたのだった 人差指が指し示した先に 肩を震わせながら 

今も息づかいして 泡のような音を立てて ついに泣き出すかもしれない

いや 涙をひらひら舞い落しながら ひらひら  ひらひら もう一度

この世へ吸いもどろうとしている あの人のくちびるを