芦屋芸術|同人誌・現代詩・小説

洪水映像

水が増えない

裏の土手では

滝になって落ちている

もう朝日の出るころで

全体が薄ぼんやりしている

そんな灰色やもやの中から

水があふれ 

あちらこちら ほとばしっている

チュッパー パッチュー チュパッチュー

水音が騒いでやかましい

なのに

どうして水が増えないんだろう

庭で野良猫が遊んでいる

そこには水がない

ひょっとして

生きるっていうことは

水の映像を見ることなんだろうか

水の音を聞くことなんだろうか

私はフトンに寝ころんだまま

スマホで

消防所に問い合わせていた