芦屋芸術|同人誌・現代詩・小説

どんづまりだった

 暗くて明るいのがあるかもしれない。ボクがそう呟いた時、何が言いたいのかさっぱりわかんない、あなたは頭ごなしに否定した。けれど、ねえ、お願いだ、まったく意味不明だなんて決めつけないでくれまいか。

 どうしてボクをそんなに責めるんだ。こんな状態だったら、二度とあなたに会いたくはない。ラインの声さえもう聞きたくもない。暗くて明るいのがあるかもしれない。この問題を極めるためには、あなたと絶交してもいい、ボクはそこまで思いつめてるんだ。

 ボクの前から消えちまえ。このコーヒー茶碗も見たくもない。失敬するからな。ほんとは、こんな言葉をキッパリと叩きつけてやりたかったのに。けれど、やっぱー、心の底ではあなたのことが好きで、たまらなくて、なんというか、ご覧の通り、なんにも言えなかった。情けなくなって、肩を落として、帰路を急いだ。

 いったいボクは何を言わんとしているのか。……シクジッタ! こんな言葉が口をついて出た。これだけは間違いない。とどのつまり、暗くて明るいものを探すのに余りにネチッコク固執したばっかりに、ボクはあなたを失ってしまった! ポケットから愛を落としちゃった! 遅まきながら、今となっては我が身を叱責し断罪せざるを得なかった。毎日が、暗くてさらに暗かった。真っ暗だった。どんづまりだった。