芦屋芸術|同人誌・現代詩・小説

笑顔

 台風七号の去った朝、落ち葉だらけの庭掃除は一仕事だった。九年前まではワイフとふたりでおしゃべりしながらやっていたので、お遊び程度の作業だった。今は違う。箒で落ち葉を掃きながら、腰がかったるくなると、まるで苦行僧のまなざしで空を見あげたりしている。

 

 空は曇天だった

 時折

 霧に似たような雨が顔を濡らした

 思い出したように強い風が吹き

 掃き集めた落ち葉を

 あたりいちめんに散らした

 心の中に

 彼女の笑顔が浮かんでいた