芦屋芸術|同人誌・現代詩・小説

「別冊 詩的現代」を読む。

 藤井章子さんから詩誌が送られてきた。

 

 「別冊 詩的現代」 発行所/詩的現代編集部 2023年5月15日発行

 

 一通り読ませていただいた。本誌は評論系の文章がいい、そう思った。とりわけ嵩文彦の「夢を追い羽化登仙の紳一に」は細部に至るまで緻密に裏打ちされた書評として楽しく読ませていただいた。

 ところで、「詩的現代」は知人に送っていただいてここ数年、それなりに読んでは来たが、結論から言えば、終刊ということらしい。第二次「詩的現代」40号が2022年3月18日に出て、第三次「詩的現代」41号が2022年6月25日に出た。その奥付には「42号の原稿締切りは、7月末日必着です。」となっていた。しかし、42号は出ず、今回、本誌が出版され、編集メモに、第二次「詩的現代」の解散が宣言された。

 私のような門外漢がとやかく言うことではないだろう。私は同人誌に参加せず個人で作品を書き、ブログに発表したり個人誌を作って発表したり、ささやかに過ごしてきた。ただ、こういった立派な詩誌が消滅していく姿を見れば、所謂「現代詩」に陰りが出てきた、そんな発言を耳にすることもあるが、それが現実なのかもしれない。さまざまに状況分析をするのも必要だろう。だが、ただひとり、孤独を極めて書く、大手拓治や牧野虚太郎など先人が歩いた道が眼前に開けてきたのかもしれない。