芦屋芸術|同人誌・現代詩・小説

回転幻想

もつれて

球形になって

どこまでも 転がってゆく

 

手と足が四つ

頭が付いた首 二つ

胴体 二本

腕 四本 脚 四本

乳首 四つ

くちびる ふたつ サイレンみたいに喚き散らして

からまりあい

もつれあい

一個の団子になって

転がってゆく

二体が 密着し 接着し 痙攣し

トリモチ状にペチョリン ペチョペチョ乱れ 

足掻き

浜辺に向かって

ひっくり返って

そっくりかえって

転がり続けて

ふたりだけの海水浴を夢想する

なんという いじらしい球体だろう 完璧な自己同一 極楽する回転運動

 

浜辺の先は

断崖だった