芦屋芸術|同人誌・現代詩・小説

冬眠が近づいた亀たちと

 朝夕、冷え込む日々が続いている。けれど、きょうは朝からすっかり晴れて、きのうより少し暖かい。いつもより時間をずらして九時過ぎから池の掃除を始めた。作業しながら考えていた、来週くらいにこの子たちを冬眠させなきゃいけないな。……

 十一月十三日に我が家へやってきた迷子の亀、おそらく三歳前後じゃないかと思うが、その翌日から掲示板にビラを貼ったりして飼い主探しをした。音信はなかった。噂では、十一月の第一日曜日、六日の話だが、近所の親水西公園の池で亀を見つけた人がいる、そういうことだった。その池から這い出してウロウロしているところをご近所のご夫婦がワンちゃんと散歩中に見つけたのではないか。池に捨てられてまだ間がなかっただろう。でなけりゃあんなに磨かれたようにキレイな甲羅をしているはずがなかった。もしこれが真実なら、永遠に飼い主は顔を出さないだろう。

 もう二十日たった。飼い主が現れないとしたら、これからは我が家で私と共生することになる。言うまでもなく、新しい仲間が増えてうれしくはあるが、古株の方は三十三年生きて、来年の春冬眠から覚めることが出来たら、三十四歳になる。この子はまだ三歳くらい。だったら、病気さえしなければ少なくとも二十年前後は生きる。うまくいけば古株くらいこの世を楽しむはずだ。その時、私はもうこの世にいないだろう。アア! 誰がこの子を見てくれるのか! いったいこれからどうすればいいのか。……

 

 

*写真は、我が家の古株と迷子亀。古株はジッと。迷子亀はウロウロ。冬だ。