芦屋芸術|同人誌・現代詩・小説

さまざまな映像の破片が砕け散った

闇が

消えるまで

記憶だけの世界で

遊んでいた

 

そこでは 記憶の破片が

さまざまに組み合わされて

昼間とは違った映像界と音響で

ひしめきあっていた

 

どす黒い物が

座っていたり 立ってみたり

いきなり走り出して もつれ あばれ 喚き散らし 

ついに 解体して

 

あたりいちめん 黒糸で編まれた葉脈状に拡がっていく

その黒糸が溶けた

染みだらけになって とろけ ねっちょり 流れ

たちまち つぶつぶ 固化し ぶつぶつ  分裂し

 

爛れて 紅色に変色した無数の軟体の皮膜が 裂けて

そこから 意味不明の声があえいでいた

ぜいぜいして 私の人差指に吸いついてきて

しゃぶりながらしゃべりだした……

 

どうやら

朝が来たようだった

頭の中で

さまざまな映像の破片が砕け散った