芦屋芸術|同人誌・現代詩・小説

カアカアのお口は食糧貯蔵庫!

 自分の無知を自慢するわけではないが、ずいぶん歳を重ねたけれど、私はこんなことさえ知らなかった。

 そうだ、カアカアのお口は食糧貯蔵庫だった!

 観察していると、カアカアのお口が食糧貯蔵庫に早変わりするには、大きく分けて二つのケースがあった。

 その1) 私がご飯をたくさん出し過ぎたため、満腹した後に残ったご飯を口いっぱい頬張って、木の枝と枝の狭い間に挟んだり、ウッドフェンスの隙間に押し込んで、後日のために保管する。

 その2) 身体障害者でいじめられっ子のカアカアはキョロキョロ辺りを見回して、健常者のカラス仲間の気配を感じると、襲撃される前に、周章ててお口いっぱいご飯を詰め込んで、庭をピョンピョン跳びはねながら、我が家の裏手の方へ退散する。どこか安全な場所でゆっくり食事がしたいのだろう。

 かくて観察の結果、カアカアはハシブトガラスだが、お口の中がかなり広いので、時にはそこが食糧貯蔵庫に転用されることが、判明した。