芦屋芸術|同人誌・現代詩・小説

指先から

もうその方向に逆もどりは出来ない

一方通行だった

背後に足跡と靴音を残して

今は こんな赤い袋の中から

青空を見あげている

やがて足跡も靴音も途絶えた

すべてが消えていた

ただ

眼前に 未来へ向かって

人差指だけが一本 宙に 浮いている

指先から涙をこぼして