芦屋芸術|同人誌・現代詩・小説

何かいる

大きな紙袋を見つけた

薄茶色で分厚い紙で出来ている

家の中で見つけたと思うのだが

なんだかボンヤリしてしまって どこにあったかわからない

両手で持ち上げると

袋の口は閉ざされている

ノリでビッシリ張り付けられているのか

シッカリ閉じられていて

どこにも隙間がなく 中を覗くことが出来ない

かなり重い 十キロ近くあるのじゃないか

中では ガサゴソ音がする

何かいる

何かわからないが おおぜいいる

密封されて 苦しくて

這いずり回っている

どうしよう

頭の片隅に こんな映像が浮かんでくる

追い詰められ もがき苦しんだ果て

彼等は自力で封を破り

どっと押し寄せてくる

犯人はお前だ

口々に喚き 狂ったように叫んでいる

復讐だ!

わたしの全身はゴキブリだらけになって

紙袋を抱えたまま窒息し 仰向けに倒れていく