芦屋芸術|同人誌・現代詩・小説

イーブリン・アンダーヒルの「神秘主義」

 過日、ベルグソンの「道徳と宗教の二源泉」を読んだ時、この本が紹介されていた。早速、購入して読んだ。

 

 「神秘主義」 イーブリン・アンダーヒル著 門脇由紀子 他訳 ナチュラルスピリット 2016年9月23日初版

 

 興味深い本だった。そもそも、この本を手にした発端はこうだった。

 ベルグソンは人間の創造的進化を、神秘家という天才的な個人に期待している。特に、キリスト教神秘主義者は自分の自我を無化した神人合一の立場から、隣人の中で愛の世界を結晶せんと、身命を賭して献身する。第一次世界大戦の荒廃から立ち直り始めた矢先、一九二九年、アメリカの金融恐慌に端を発した世界恐慌、次第に台頭するファシズムを見すえ、一九三二年、ベルグソンの「道徳と宗教の二源泉」は発表された。七十歳を超した彼の思想の終着点だったのか。現代の社会学や常識等に洗脳されたわれわれには、トンダお笑いぐさだ! そう断じて辞さないだろう。

 だが、私は劣等生なのだ。劣等生の特質として、頭が悪いせいで、なかなか現代の社会学や常識等に洗脳されない。洗脳されるくらい頭が回らない。すなわち無知だから、すべてに学ぼうとする。

 今回読んだ「神秘主義」は、スバラシイ本だった、そう一言だけ述べておこう。何が「スバラシイ」か、いずれブログに書くだろう。

 私は眼を鎖して、しばらく神秘主義に学ぼうと思う。