芦屋芸術|同人誌・現代詩・小説

落山泰彦の「石たちの棲む風景」を読む。

 私はこの本を書いた著者の作品を既に二冊読んで、ブログにもその感想文を書いている。書名は、「私の青山探訪」と「石を訪ねて三千里」。

 このたび読んだ本は「石を訪ねて三千里」と未読ではあるが「石語り 人語り」、この二冊と共に三部作をなす作品だった。

 

 「石たちの棲む風景」 落山泰彦著 澪標 2021年6月16日発行

 

 この本の副題はこうなっている、「物語に出会う旅」。つまり、さまざまな石とその石にまつわる物語を訪ねた特異な旅行記だった。

 日本だけではない。中国にも、カンボジア、インド・ネパール、果てはトルコ、シルクロードにまで足を運んで石や岩などで刻印された仏たちを拝顔するのだった。

 こういう風に書くとマニアックな本ではないかと読者は思うかもしれない。ところが、底抜けに明るい本で、読後、最終ページを閉じるとき、清々しい気持ちを読者の心に残す、そんな本だった。ぜひこの本を手に、読者も旅行に出かけていただきたい。