芦屋芸術|同人誌・現代詩・小説

亀に寄りそう

 昨夜は友達と夜六時過ぎに落ちあって阪神芦屋近辺の居酒屋で九時頃まで飲み、その足で近くのカラオケスナックで遊んだ。友達とは一回りくらい年が上なので、歌の傾向が違い、私の場合、戦後から七十年代くらいまでの昭和の歌。例えば、丸山圭子の「どうぞこのまま」や西島三重子の「池上線」などを歌った。

 帰宅すると日を越えて、翌日の午前一時に近かった。そういうわけで朝寝坊してしまった。起きたのは午前六時半。それから食事の用意、花瓶の水替え、気になっていた歯磨き粉などで汚れた洗面所の鏡をティシュペーパーで拭いて、庭掃除。もちろん、けさもカラスやスズメがご飯をお待ちかね。亀の池の側の六つの鉢植えで伸び放題になっていた雑草を抜き、花壇と鉢にホースではなくきょうはジョウロで水遣り。

 ここで手が止まった。土曜日なので一週間ぶりに亀の池の掃除をやらなければならないが、気力喪失。シャワーで汗を流して、パソコンの前に座ってしまった。

 だが気になって仕方なかった。亀が三十四年余り我が家で生活しているのも、言うまでもなく亀の寿命によるものであるが、私が彼の住環境や食生活、冬眠の準備などを常に配慮していたことも若干作用しているのではないか。早めの昼食を取り、芦屋浜を散歩しながら、帰ったら亀の池を掃除しよう、心にそう言いきかせていた。

 午後一時過ぎから亀の池を掃除した。掃除しているあいだ、亀は庭を嬉しそうに散歩している。亀より先には死ねない、私はそんなことを考えていた。

 

*写真は、掃除が終わって、私と遊ぶのも終わって、綺麗になった池に帰宅した亀。