芦屋芸術|同人誌・現代詩・小説

亀と白いキキョウ(続続続)

 朝方、豪雨がやって来た。しかし私は、この土曜日の午前中に二つのお願いを胸に秘めていた。

 一つのお願いは、週に一回やっている、庭の池の掃除をやりたかった。もう一つのお願いは、洗濯だった。九時前にはパラつく程度の空模様になった。私は断固として二つのお願いを実行に移した。

 池の掃除が終わって、いつものようにしばらく亀と遊んだ。彼は白いキキョウの前を通り過ぎて、門前へ急いだ。それは「家庭の平和」からの脱走計画だった。

 私は思い出す……六月下旬から咲き始めたキキョウは、五十日足らずでいくつ花をしぼませ、また、いくつ新しい花を咲かせたことだろう。これから晩秋に向かって葉も茎もすべてが枯れるまで、いくつの花がこの世に出て、しぼみ、去っていくのだろう。

 まだ小雨がパラつく中、エイヤッ! 第二のお願い、私は洗濯も決行した。昼前から晴れになる、それにすべてを賭けた。

 十一時十四分、この文章を書き終わったとき、空には晴れ間が出た。