芦屋芸術|同人誌・現代詩・小説

彼は

彼は

一礼して

ふところから蛇を出した

みんな 手を打って笑ってくれた

 

 ⁇

 

だが 彼は

いきなり 衣装を脱ぎ捨てた

無数の剃刀で作られたベッドの上で

両手に手錠をかけて

裸形を血で飾り あおむいた

即座 ご臨終です

という声を

耳にした

 

 

いま 彼は

枕もとに茶碗と箸を置き

あわてて 鼻の穴に綿を詰め

顔に青い絵の具を塗って 寝転んだまま

二三人の

弔問客を見あげる

みんな アリガトウ そうつぶやいて