芦屋芸術|同人誌・現代詩・小説

カアカア、無常。

 つい寿命のことを考えてしまった。

 一般論に過ぎないが、カラスはワンちゃんやネコちゃんとほとんどかわらず、寿命は十年から二十年だった。

 カアカアは、だいたい、朝、昼、夕、我が家の軒先にやって来て、私とお話ししながら、ご飯を食べて帰って行く。まだ二歳足らずだから、一般論に過ぎないといっても、カアカアは少なくともあと十年くらいの生きている時間を背負っているに違いない。

 だが私はこの歳だから、あと十年以内で、ひょっとして。……つきつめれば、やはり世間は無常だった。私のいない軒先で、カアカアが鳴きながらご飯を待っている姿が、眼前に浮かんでいる。